【中学受験】子供のやる気がない原因とモチベーションを上げる仕組み作りとは?
中学受験の勉強が進むほど、「うちの子、やる気がなくなってきた」と感じるご家庭は少なくありません。実はその原因の一つが、塾の効率的な仕組みにあります。効率を重視するあまり、子どもが「自分で学ぶ力=主体性」を失いやすくなるのです。本記事では、子どものやる気を引き出す“家庭でできる工夫”を紹介します。

連載:難関大合格者インタビュー#3
トウコベで学習プランナーを務める難関大合格者を取材し、合格までの学習法や思考法を訊く企画です。
今回は、池田講師に「主体性を育てる家庭学習」について聞きました。
目次
中学受験で失われがちな主体性
進学塾では合格に向けた効率的なカリキュラムが組まれています。しかし、この効率重視の構造が子どもの学習意欲を奪い、「やらされている」感覚を生んでしまいます。
均一なカリキュラムと進度
大手塾は集団指導の効率を重視するため、個々の子どもの個性や好奇心を深く掘り下げる機会が限られます。
演習中心の授業と知識の詰め込み
短期間で点数を上げるため、解法を覚えて問題を解くことが中心となります。「なぜそうなるのか」という本質的な問いが置き去りにされ、学習が作業のように感じられてしまいます。
成績による序列化と競争
頻繁なテストとクラス分けが競争を煽ります。その結果、「知る楽しさ」「できる喜び」といった内発的な動機ではなく、「褒められたい」「上のクラスに行きたい」という外発的な動機に依存しやすくなります。
このような塾の構造は、効率を重視するあまり、子どもの学ぶ意欲を引き出す機会を奪ってしまいます。
心理学から見るやる気低下のメカニズム
子どもが「やらされている」と感じるとやる気を失うのはなぜでしょうか。このメカニズムを解き明かすのが、心理学の自己決定理論です。学習意欲は以下の3つの基本的な心理的欲求が満たされることで高まります。
自律性(Autonomy)
「自分で選び、行動を決定したい」という欲求。
有能感(Competence)
「物事をうまくこなし、成果を出したい」という欲求。
関係性(Relatedness)
「他者とつながり、認められたい」という欲求。
「やらされている」勉強は「自律性」の欲求を阻害します。何をやるかを自分で決められないため、「自分の意思で勉強している」という感覚を持てず、学習意欲が低下してしまいます。
「自分でできた」が子どもを伸ばす—主体性を育てる家庭学習—
失われた主体性を取り戻すには、子どもに「やらされている」感覚ではなく、「自分でできた」という達成感を積み重ねさせることが大切です。
施策①:小さな「選択」から始める
「今日は算数と理科、どっちから始める?」「この問題集のどの単元から解く?」「休憩時間は何分にする?」小さなことでも自分で決める経験を積み重ねることで、子どもは「自分の意思で勉強している」感覚を取り戻します。
施策②:成功体験を積み重ね「有能感」を育む
難しすぎる問題だけでなく、少し頑張れば解けるレベルの問題をこまめに与えましょう。そして、「できた」という成功体験を繰り返し実感させてください。
NG例: 「こんな簡単な問題、間違えるなんて。」
OK例: 「よく最後まで頑張ったね!この問題の解き方、自分で見つけられたのがすごいよ。」
結果だけでなく、努力の過程や、自分で考えて解決したプロセスを具体的に褒めることが重要です。
親も子も前向きになれる—伴走型学習のすすめ—
親が「伴走者」となる「伴走型学習」を取り入れましょう。子どもを「管理」するのではなく「伴走」する立場へ。合格に向かって、子どもが自ら走るのを横で見守り、サポートするイメージです。
step1: 目標を一緒に立てる
親が一方的にノルマを与えるのではなく、「今週はここまで終わらせたいね」と子どもの意見を聞きながら目標を共有する。
step2: 頑張りを承認する
努力の過程や、粘り強く取り組んだ姿勢を具体的に褒める。「すごいね!」「よく頑張ったね!」
step3: 対話で「なぜ学ぶか」を考える
問題の解き方だけでなく、「なぜ算数の図形問題が面白いのか」「この歴史上の人物は何を考えていたのか」など、対話を通じて学びの本質的な楽しさを一緒に探求する。
親が伴走者となることで、子どもは「関係性」の欲求も満たされ、安心感の中で主体的に学べます。
まとめ:親子で育むやる気を武器に、合格をつかみとろう
中学受験は、子どもが「主体性」という一生モノの財産を育む絶好の機会です。塾の仕組みを理解し、家庭で「伴走型学習」を実践することで、子どもは「やらされ感」から解放され、「自分でできた」という喜びを力に変えることができます。これは中学・高校、そしてその先の人生で自律的に学び続ける力にもつながります。



