小学生の勉強は読書から!国語力を高める習慣とは

お役立ち 2025年9月2日

算数や理科・社会の得点力を支える基盤となる読解力や語彙力は、短期的な対策では身につきにくく、小学生のうちからの読書習慣が決定的な差を生みます。
本記事では、幼少期から読書を積み重ね、開成中学校を経て東京大学に合格した学習プランナーに取材しました。小学生時代にどのように読書に取り組み、国語の成績を伸ばし、受験勉強全体を効率化したのか。さらに、保護者ができる読書習慣のサポート方法や、すぐに実践できる具体的な工夫も紹介します。


読書をする小学生の様子

連載:難関大合格者インタビュー #2

トウコベで学習プランナーを務める難関大合格者を取材し、合格までの学習法や思考法を訊く企画です。

今回は、開成中学校を経て東京大学に合格した学習プランナーに、小学生時代の読書習慣がどのように国語力向上と難関校合格に繋がったのかを詳しく伺いました。

井上さん写真

S.I.講師

開成中学校・高等学校卒業。現在東京大学在学中。小学6年生から中学受験勉強を開始し、1年間の集中的な学習で開成中学校に合格。幼少期からの豊富な読書経験を活かした国語学習法で高い成績を維持。

読書習慣がついたきっかけは?

読書を始めたきっかけを教えてください
一番最初は親が様々な本を買ってきてくれたのがきっかけでした。記憶は曖昧ですが、親がジャンルにこだわらず色々な本を買ってきてくれて、読書する環境が整っていたんです。その中でも特に物語や小説、絵本にはまって、そこからどんどん読み始めるようになりました。途中からは完全に自分から積極的に読むようになっていましたね。本格的に読書習慣がついたのは小学3年生頃で、かなり早い段階だったと思います。
どれくらいのペースで読書をされていたのですか?
小学5,6年生頃は一日一冊ぐらいのペースで読んでいました。月に30冊、多いときは50冊くらい読んでいたと思います。かなりのペースでしたね。読書量としては他の人より圧倒的に多かったと思います。
どのようなジャンルの本を読んでいましたか?
ジャンルにこだわりはありませんでした!青い鳥文庫など小学生向けの小説を多く読んでいましたが、それ以外にも図鑑や、楽しく学べるタイプの四字熟語辞典のような学習系の本も読んでいました。また、小学生があまり読まないような難しい本、例えば「吾輩は猫である」なども読んでいました。本当に色々なジャンルにチャレンジしていたのが特徴だったと思います。好きなシリーズができてもすぐに全部読み終わってしまうので、他のジャンルに行かざるを得ないという状況でもありましたね。

読書が国語にどう生きた?

読書習慣が中学受験の国語にどのように活かされましたか?
国語については、最初からかなり他の受験生よりも優位に立てていたと思います。やはり圧倒的な読書量によって、読解力がついていたのが大きかったと思います。文章に慣れ親しんでいましたし、新たに読むことに抵抗がなく、むしろ国語の問題を解く時は「新しい文章が読める!」と楽しんでいたくらいです(笑)また、ジャンルにこだわらずに読んでいたことで、物語文・説明文どちらについても適切な読みができる素地が整っていました。

国語以外の科目にも読書習慣の効果はありましたか?
国語は元々得意だったので、中学受験では国語にかける時間を最小限にして、他の科目に時間を回すことができました。算数や理科社会など、小学校ではあまり扱わない知識が必要な科目に集中できたのは大きなアドバンテージでした。実際、塾の国語の授業を受けずに、その時間は算数の勉強に充てていたことも結構ありました。それくらい国語は自信があったし、実際読書習慣のおかげで特別な対策はあまり必要なかったんです。

読書を習慣化し、国語力に直結させるコツ

読書習慣ってなかなか続きにくいお子さんも多いのではないかと思うのですが、日常生活の中で読書習慣を維持するコツはありますか?
まず読書のハードルを下げることが大切だと思います。YouTubeなどほかの娯楽が多い現代において、活字の本は確かにハードルが高いですが、一度そこを超えて面白さがわかるとハマる人も多いんじゃないかなと思います。我が家ではゲーム時間は一日30分に制限されていましたが、本はいつまで読んでいてもよかったんです。本を読む時間をちゃんと作ってあげる、親御さんから環境を整えてあげるのは重要だと思います。

また、読んだ本を記録する習慣も良かったです。達成感が得られますし、「これだけ読んだぞ」という実績がどんどん溜まっていく感じが、子供心にも達成感がありました。学校でも何冊借りたかの表彰などがあったので、そういうコンプリート欲を刺激するのも続けやすいポイントだと思います。

後はやはり、本を読むと褒められるという経験がとてもよかったと考えています。本を多く読んだり、難しい本を読んだりすると、「すごい!」「えらい!」と親や周囲から褒められていたんですね。それで嬉しくなって、今度はもっと難しいものも読んでみよう!だったり来月は最多記録を目指すぞ!だったりといったモチベーションに繋がっていました。そのような良いサイクルを創出できるような環境作りが重要なのではないかと思います!

ただ読むだけでなく、国語力につなげるための工夫はありましたか?
本の記録と併せて、本の感想を必ず書く習慣がありました。量については短くても気にせず、とにかく自分なりにどこが面白かったか、どういうところが興味深かったかを整理して書いていました。このアウトプットによって、ただ読むだけでは得られない文章力を磨くことができたと思っています。また、感想を書くために少し読み返すこともありました。しっかりと内容を咀嚼して、自分の言葉で表現する練習になっていました。

語彙力についてもなにか取り組みはされていましたか?
当時は語彙力があることがかっこいいと思っていたんですね(笑)なので、分からない漢字や言葉を放置ないことを心がけていました。その場で親に聞いたり、調べてみたりして、「わからない」を「わかる」に変え続けました。また、四字熟語辞典なども読んでいましたし、ある意味語彙力向上にハマっていた感じでした。
また、そのようにして得た知識を親に披露することによって感心されたりしたことがその取り組みを加速させたのではないかと思います。多くの子どもは「教えたがり」なところがあると思うので、今考えるとその欲求がしっかり喚起されていましたね。

これから読書習慣を身につけたいご家庭へのアドバイス

これから読書習慣をつけたいお子さんの保護者にアドバイスをお願いします
本を読む時間をちゃんと作ってあげることが重要です。最初の誘導がないと、なかなか本にはいかないと思います。でも一度ハマると楽しいし、学べることは多いので、親御さんからの環境づくりが大切だと思います。ゲーム時間などを制限しつつ、本は自由に読ませるといった家庭の方針も効果的でした。厳しく禁止するのではなく、自然に本に向かうような環境を作ることをおすすめします。
また、やはり読んだ本については親子で積極的にコミュニケーションを図るべきだと思います。最初は感想を書いたりすることが難しくても、口頭で面白かった部分を聞いてみたり、得ることができた知識をお子様から教えてもらったり、逆にわからなかったところを聞いてみたりすることによって、確実に国語力は育っていくはずです。

具体的にどんな本から始めるのがおすすめですか?
まず一つハマるものが見つかるといいですね。シリーズ物でハマるものがあれば、そこから広がっていくと思います。また、面白いと感じられた本の作者の作品から探してみるのもありです!
読書が好きでない子には映画のノベライズのような親しみやすいものもおすすめです。例えば私は「ルパン対コナン」のノベライズや「サマーウォーズ」のノベライズなどは好きで繰り返し読んでいました。また、最近の小学生向けの小説では多いですが表紙イラストで選んでもらったりしてもよいと思います。イラストがあると情景が想像しやすいので、圧倒的に読みやすくなるでしょう。
やはり他のコンテンツと関連があったり、イラストが気に入るものがあったりすると入りやすいのではないかなと思います。

読書習慣を身につけるための段階的なステップを教えてください
  1. まず読書の環境を整える(本は自由に読めるように)
  2. 興味を持ちそうな本を提供する(できればジャンルにこだわらず様々な本を)
  3. 読んだ本を記録する(達成感を得られるように、タイトルだけでも)
  4. 分からない言葉は必ず共有(語彙力向上を意識)
  5. 慣れてきたら感想を書く習慣をつける(アウトプットの練習)

一例ではありますが、このような段階を踏むことで、自然と読書習慣が身につき、国語力向上に繋がると思います。

最後に、読書習慣を身につけたいお子さんや保護者の方にメッセージをお願いします
読書は確かに最初はハードルが高いかもしれませんが、一度ハードルを越えると本当に面白い世界が広がっています。そして最初のハードルを越えるためには、親御様を中心とした周囲の環境が非常に重要です。環境づくりをぜひ一緒に、積極的に行ってみていただければと思います!
また、読書習慣により鍛えられた国語力は、受験勉強全体の効率化にも繋がります。国語力はすべての科目の基礎の基礎ですし、私の場合も、その土台が身についていたからこそ、時間のない中で第一志望への合格を達成できたと思っています。

読書習慣は一朝一夕では身につきませんが、継続することで必ず大きな力になります。ぜひ親子で一緒に読書の楽しさを発見してください!